「常識に囚われない思考」

2016年10月にマンハッタンの教室で受けた取材を宮本先生と再編集し翻訳しました。

「賢くなるパズル(KENKEN)」考案者が提案する「常識に囚われない思考」。

エンジニアリングの世界で最も重要なのは既存の考えや枠組みに囚われない革新的な思考である。世界には既にありとあらゆる斬新なアイディアや発明が溢れているが、常に想像力を駆使し、それを超える新しい解決策や方法などを考える。そのような革新的思考力の培い方は?また、成功につながる考え方とは?

「賢くなるパズル(KENKEN)」はもともと小学生が楽しみながら四則演算の処理能力を向上させるために考案されたが、その後子供だけでなく、あらゆる年齢の人たちの論理的思考力と問題解決能力、推理力の向上にも役立ってきた。2006年にパズルが世に出て以降、世界的にヒットし、現在200誌以上に掲載中で、世界一脳を鍛えるパズルとして老若男女に親しまれている。そんな世界中で親しまれている「賢くなるパズル(KENKEN)」を考案した宮本哲也氏に革新者になるための秘訣を聞いた。

The KenKen Puzzle 「賢くなるパズル(KENKEN)」についてQ&A

Q. 「賢くなるパズル(KENKEN)」の発明にあたり、インスピレーションを受けたのは?

「賢くなるパズル(KENKEN)」はもともと子供たちの思考力向上のために作りました。カックロという1から9までの数字を使い、垂直か平行のブロック群を左上の数字に合うように合計し埋めていく足し算のみのパズルからヒントを得ました。3年生用に新しい教材を作ることになった時、足し算のみならず、四則演算全て使って子供たちが楽しみつつ没頭できる面白い問題を作ろう!と心に決めました。最初作ったのは5×5たし算のパズルでした。今では子供たちから高齢者までが、4×4たし算から9×9四則混合、演算記号なしまで、それぞれに合ったレベルのものを楽しんでいます。

Q.エンジニアリングは発見と問題解決の繰り返しです。算数もそうですよね。宮本先生にとって問題を解決することとはどういう意味があるのでしょうか。

算数で一番大事なのは計算能力だ、と言う人がいます。公式を暗記して問題を解く。でも、私はそうは思いません。様々な問題に挑戦し、自分一人で「ああでもない、こうでもない」、と試行錯誤し、悩みながら答えを導き出す。そこに算数の本当の意味があると信じています。生徒が自ら発見し、学ぶ機会を奪いたくないので、私は一切の邪魔をしません。

私にとって問題解決の醍醐味は計算して答えを出すという単純作業ではなく、一見遠回りでも考えて考えて考え抜いて何度も見直し、その過程を楽しむというところにあります。人生と同じです。山頂を目指すには諦めずに挑戦し続けること、辛くてもキツくても前に進むことが求められます。でもそれを乗り越えた時の感動は何ものにも変えがたく、素晴らしい経験になるのです。

古代ギリシャの数学者であり物理学者でもあるアルキメデスは浮力の原理を風呂場で発見した時にあまりの感動と興奮で服を着るのを忘れて街中を走り回ったそうです。私は裸で外に駆け出すことはありませんが、難しい問題を作った瞬間とそれを解いて正解が1通りしかないことが確認できた瞬間が大好きです。そのときの心震える感動がいつも生きる原動力になっています。

革新的な考え方。 

Q. 革新的な考え方にコツはあるのでしょうか。

コツなどありません。強いて言うならば、みんなに与えられた同じ情報を別の角度、視点から捉えて解釈する。とにかく考え続けることが大切です。

算数、あるいは人生における問題に直面したとしましょう。既存の考え方に囚われず、一通りの答えで立ち止まらず、色々な可能性や問題へのアプローチの仕方を考え、頭と心を既成概念から解放し、更なる困難に立ち向かいましょう。挑戦し続けること、諦めないことが革新的な考え方、発明へと繋がると私は信じています。

 Q.エンジニアリングでは失敗は必然です。新しいことに挑戦する度に計算通りにいかないリスクを背負っています。失敗を恐れない方法は?

失敗を恐れてはいけません。どんなことでも受け入れ、尊重すること。そうすれば失敗は常に気づきと学びに繋がります。エンジニアリングでも算数においても完全に理解していないが故に失敗しますが、その経験があってこそより良い結果、また思いも寄らなかった新しい世界が開けます。

人生においても、エンジニアリングにおいても、算数においても失敗するリスクをゼロにすることはほぼ不可能です。可能なのはリスクを受け入れ、それを最小限に留められるように慎重に前に進むということです。

Q.ある問題がどうしても解けない、もう諦めたい、と思った時にはどうすればいいのでしょうか。

時には諦め、放り出すことも大切です。ただ、人生においてまた同じような問題に直面するかもしれないので必ず振り返り、見直すこと。そしてその時点で出来なかった自分を受け入れること。そして一旦、放り出したらしたら、とりあえず寝ること。実は寝ている間に面白いことが沢山起こります。パズルを作る最中、何度も壁にぶち当たりました。「あぁ、ダメだ!どうしても作れない!」そんな時はとりあえず寝てしまいます。そしてスッキリ目覚めると驚くことに解決しているのです!その瞬間できなくても悲観せず、とりあえず睡眠を取りましょう。起きた時には答えが出ているということがよくあります。

Q.挑戦し続けるには?

やりたくないことリストを作り、まず、一番やりたくないことを削除します。それを繰り返すとたいてい最後に一番大変なこと、一番チャレンジングなことが残ります。後悔したくないので、自分でもびっくりするありえない行動に出ることがあります。2013年11月15日、54歳の誕生日を迎える10日前の夜、突然思い立ち、教室をマンハッタンに移すことに決めました。どうしてそんなことをするのだろう?2015年2月10日の飛行機の中では涙が止まりませんでした。(詳しくはメルマガで綴っています。宮本哲也のマンハッタン通信~日々、自己ベスト更新!http://www.mag2.com/m/0001670576.html

自分の限界を超えたことに挑戦し続け、上限をどんどん引き上げていきます。すると「挑戦しなければつまらない!」という気持ちになります。これは目標や夢の実現ため、次のステージに上がるためには必要なプロセスです。

挑戦し続けることは苦しみも伴いますが、それによって人間としてより強くなれます。私の究極の目標は成功ではなく、成長し続けることです。今まで180冊以上の本を出版していますが、前に進むことを止めません。常に私自身を伸ばして成長させてくれる何かが必要なのです。

Q.「賢くなるパズル(KENKEN)」のあと、次なる目標は?

チェスの対局のように、オンライン上の「賢くなるパズル(KENKEN)」対戦ゲームを構築することです。世界のどこにいてもよく、お互いにパズルを作って交換し、対戦する。早く作っても簡単な問題では勝てない。高い集中力と強い忍耐力が必要です。そんな誰もが没頭できる世界的なゲームを作りたい。どなたか一緒に実現してくれませか?

「賢くなるパズル(KENKEN)」は現在日本の病院で、うつ病の治療にも使われています。パズルに没頭し、自己否定の思考から解放され、解けた時の成功体験が自信と自尊心の向上に繋がり、自己肯定感を高めます。これからも「賢くなるパズル(KENKEN)」でもっと多くのうつ病患者の治療に貢献したいと思っています。

Q.昨今の著しい技術進化についてはどう感じますか。

テクノロジーの進化は間違えなく私たちの生活を豊かにしてきました。常に変わり続ける社会の需要に対応した技術革新については目を見張るものがあります。しかし、モーツアルトやシェイクスピアが歴史に残した遺産のように、人間だからこそ生み出せる作品、機械には作り出せない作品には敬意を表し、尊重したいと思います。

Q.著名な発明家として、これから何か大きなことをやりたいと野心に燃えるエンジニア、起業家にアドバイスをお願いします。

そうですね、思う存分冒険し、一番情熱を注げるものを見つけて下さい。そして常に「人生において本当に欲しいものは何か?」自問自答する時間を十分に取って下さい。私は見るもの、経験することについて常に自問しています。何かを成し遂げたいと思ったら、まずは自分自身をじっくり理解する必要があります。

一見無駄なことだと思われることは実はとても大切な時間や経験だったりします。一方で一番重要だと信じたことが実は大した問題ではなかった、ということもあります。一番大切なことはワクワク、ドキドキ、ハラハラできることを見つけて没頭すること。心の底から面白い!と思えることを探し当てることです。

そして本当にやりたいことを見極め、それを達成するために綿密な計画を立てることはとても大切です。成功への道は粘り強く何度も何度も見直しをしながら挑戦し続けることです。自分自身の潜在能力を最大限に引き出せる挑戦を設定しましょう。挑戦し続け、そして成長し続けましょう。

オリジナル英語版インタビュー記事(2016年10月にマンハッタンで取材)はこちらです。KenKen Puzzle Inventor’s Tips for Engineers | Device Plus

http://www.deviceplus.com/inspire/interviews/kenken-puzzle-inventors-tips-for-engineers/

 

宮本算数教室 – Miyamoto Mathematics International

http://www.miyamoto-mathematics.com/

 

宮本算数教室について💡

私の教室では小3からお預かりしています(2018年度からは小2から)。

小2,小3の生徒にはパズルだけを与えます。

パズルは集中力,粘り強さ,数の感覚を養うのにとても適しています。

小4から算数の問題に取り組み始めます。

http://www.gakken.jp/dc/miyamoto/sansu/

この教材は小4,小5のうちの教材を使いやすいように再編集したもので,元々,書籍として出していました。基礎編,応用編それぞれ48冊ずつあります(紙教材も購入可能です。  myamya@pb3.so-net.ne.jpまでお問い合わせください)。

1-3年はパズルだけでいいと思います。

4,5年で賢くなる算数96冊分を消化し,6年生は総合演習を行い、余裕のある生徒は「月刊 中学への算数」(東京出版)をやります。

中学生用の教材もあり,通信で配信しています(myamya@pb3.so-net.ne.jpまでお問い合わせください)。

中学数学のほとんどは中学入試の範囲に含まれていますので,最初の4回で中学数学を終わらせてしまいます。

その後,面白い高校入試問題を4カ月くらいやってから,高校数学に入ります。

高校数学にも中学入試の範囲に含まれるものがたくさんありますので,そこにうまくつなげます。

中学生の間に高校数学を終わらせ,その後は「月刊 大学への数学」(東京出版)をやるといいでしょう。

中学入試問題,大学入試問題の中には面白い問題がたくさんありますので,そういう問題を楽しみながら学力を高めて行くのが健全だと思います。

算数の問題は4種類あります。

  1. やさしくてつまらない。
  2. やさしくて面白い。
  3. 難しくてつまらない。
  4. 難しくて面白い。

上記の賢くなる算数96冊を含めて,今までに180冊以上の本を作っていますが,私は面白い問題しか作りません。